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Aloha Hula Best(コンピレーション・アルバム)– スラック・キーとフラの出会い

 

Various Artists - Aloha Hula Best

イントロダクション:フラとスラック・キーの関係

イントロダクション

フラ(Hula)は、古くからハワイ音楽と深く結びついてきました。19世紀、パニオロ(paniolo/ハワイのカウボーイ)たちによってギターが島々に伝えられると、ハワイの人々は独自の奏法であるキー・ホーアル(kī hō‘alu/スラック・キー・ギター)を生み出し、フラや歌の伴奏に用いるようになりました。伝統的なフラ・クイ(hula kuʻi/古い詠唱と西洋音楽を融合させたスタイル)では、スラック・キー・ギターがウクレレ(ʻukulele)やベースとともに、心地よい音の背景を作り出しました。西洋のギタースタイルとは異なり、スラック・キー奏者は必ずしもメロディそのものを弾くわけではありません。代わりに、曲のテーマとなる短いフレーズを繰り返しながら、即興的な変化や装飾音(ハンマーオン、プルオフなど)を加えて歌い手や踊り手を支えます。こうして生まれる豊かで波のように揺らめく伴奏は、フラ・アウアナ(hula ʻauana/現代フラ)の穏やかな揺れにぴったりと寄り添い、音と舞の一体感を生み出します。

文化的共鳴

スラック・キー・ギターとフラは、どちらもハワイのアイデンティティを映す大切な表現です。フラは踊り以上の存在で、物語を語り、歴史をたたえる方法でもあります。スラック・キー(オープン・チューニングを用いた指弾き奏法)は、その鼓動でフラの呼吸をなぞります。名手の中には、フラの道具に通じるパーカッシブな奏法を取り入れる人もいます。たとえばレッドワード・カアパナは、師であるソニー・チリングワースが演奏中にギターの表板を「イプ(ひょうたん太鼓)」のように叩き、フラのビートをまねていたことを語っています。こうしたリズムと旋律の掛け合わせによって、フラのために作られた多くのメレ(歌)がスラック・キーの定番となり、逆もまた然り。ナヘナヘ(甘くやわらかな音色)の響きは、古典フラ=フラ・カヒコ(hula kahiko)の詠唱に親密さを与え、現代フラ=フラ・アウアナの恋歌や自然、暮らしの歌に躍動感をもたらします。言い換えれば、スラック・キーとフラは共に育ち、いまも裏庭のカニカピラ(kanikapila/気の置けないセッション)からメリー・モナークの大舞台まで、切り離せない関係で息づいているのです。

以下では、アルバム『Aloha Hula Best』を曲ごとに紹介し、各曲の背景と演奏者をハイライトします。最後に主要アーティストの略歴をまとめ、スラック・キーの名手たちがどのようにフラの歌を息づかせているのかを浮かび上がらせます。アルバムを手にしてから読む方にも、情報を探して辿り着いた方にも、ハワイの音楽と踊りへの理解が深まる一助となれば幸いです。

トラック1:「Pua Hone」 — デニス・カマカヒ

背景

「Pua Hone(ハニー・フラワー)」は、デニス・カマカヒが1977年に恋人ロビンへ捧げた“音楽によるプロポーズ”。マキキの霧や夕暮れの静けさをまとい、露に濡れた花になぞらえるカオナ(kaona/言外の意味)を織り込みます。穏やかな揺れはフラ・アウアナにぴったりで、サビには「時とともに強まる愛」の誓いが宿ります。個人的でありながら普遍的──それが裏庭からコンサート、ハーラウ(hālau)まで広く歌い継がれてきた理由です。終止句をしっとり伸ばす歌い方は、この曲の“甘さ”を際立たせます。

「『Pua Hone』は、ロビンへの“音楽のプロポーズ”として書かれた。」— ライナーノーツより

アーティストについて

Dennis Kamakahi performing
デニス・カマカヒ(Wikimedia Commons より)

デニス・カマカヒ(1953–2014)は、ハワイアン・ルネサンスを支えた作曲家/シンガー/スラック・キー奏者。土地と人をたたえる多くのメレ──「Wahine ʻIlikea」「Kokeʻe」など──を残しました。歌いやすい旋律と、伝統と現在を結ぶ詩の層を両立させる筆致は独特。教育やコミュニティ活動にも尽くし、kī hō‘alu(スラック・キー)を教室から家庭まで広げました。

歌詞

原詞(ハワイ語)

O ʻoe ka wahine a ke aloha
I laila i ka uluwehi
Kuʻu pua hone i ka laʻi

Hone ʻana i kēhau o Makiki
ʻO wau kou aloha
I ka noe kuahiwi

He uʻi no ʻoe i ke kula
I wili ʻia me ka
ʻIeʻie o Leilono

Haʻina mai ana ka puana
Kuʻu pua hone i ka laʻi
He nani maoli nō

トラック2:「Kuʻu Lei Awapuhi」 — ケオラ・ビーマー

背景

1951年、エミリー・K・N・テイラー作。「霧雨に光るジンジャーのレイ」に恋人をたとえる歌です。呼びかけと応答の掛け合いはフラの所作に自然に馴染み、テンポとフレーズ感が手の動きに余白を与えます。声にもギターにも心地よく収まり、世代を越えて親しまれてきました。近年の録音はスケールを広げつつも、詩の芯を保っています。

「ぼくはいつも耳を澄ませる。環境が、何を語りかけてくるのかを。」— ケオラ・ビーマー

アーティストについて

Keola Beamer
ケオラ・ビーマー

ケオラ・ビーマー(1951–)は、伝統と革新のまっただ中に立つ kī hō‘alu の旗手。スラック・キーが「モダンであり、同時に深く根ざす」ことを示しました。澄んだ音色、右手のコントロール、肩の力を抜いた脈動は、ナヘナヘ(やわらかな音色)のお手本です。教育や出版、国際的な上演にも携わり、物語を世界に届けてきました。

歌詞

原詞(ハワイ語)

ʻAuhea lā ʻoe e ke aloha
ʻAwapuhi pala o ka ua noe
A eia nō me au
I ka poli o ke aloha

Hui(サビ):
E kuʻu aloha ē (e ō)
ʻAuhea lā ʻoe (e ia nō au)
A huli aku au iā ʻoe

トラック3:「Ka Makani Kaʻili Aloha」 — シリル・パヒヌイ

背景

失われた恋を「連れ戻す」と伝えられる風を讃える古典メレ。マウイ島キーパフルの伝承に結びつき、各節で土地を讃えつつ、サビでは恋人のレイに語りかけます。旋律線はファルセットにもバリトンにも映え、歌い手の幅を広げます。フラでは、風を描く腕のラインや、恋人の帰還を想わせる運びで、自然と愛の結びつきが立ち上がります。

「12弦が好きなんだ。オクターブの重なりに“力”が宿るから。」— シリル・パヒヌイ

アーティストについて

Cyril Pahinui
シリル・パヒヌイ(写真:Greg Concilla May、CC BY 2.0/Wikimedia Commons)

シリル・パヒヌイ(1950–2018)。12弦の厚みと余裕あるフレージングで、声を温かく包みます。舞台ではユーモアと古いレパートリーへの敬意を併せ持ち、フラとの共演も数多くこなしました。録音は“生きたスタイル”を記録するという姿勢で貫かれています。

歌詞

原詞(ハワイ語)

E aloha ae ana nō au
I ka makani kaulana o ka ʻāina
Aʻu e hoʻoheno nei
Ka makani kāʻili aloha

Hui(サビ):
Kuʻu pua, kuʻu lei, kuʻu milimili ē
Kuʻu lei kau i ka wēkiu
A he milimili ʻoe a he hiwahiwa naʻu
A he lei mau no kuʻu kino

I aloha ʻia nō ia home
Ia home luakaha a ka malihini
Aʻu i noho ai a kupa
Ka makani kāʻili aloha

トラック4:「Hemo Da Kope Bean」 — ケオラ・ビーマー

背景

タイトルのピジンは「コーヒー豆を摘む」の意。軽快なシンコペーションと、ベースが交互に動く運びで、枝から豆をもぎ取っていく手さばきを描きます。カリプソの色合いとスラック・キーのヴォイシングが自然に混ざり、外来の影響をローカルに消化してきた島の感覚を思わせます。ショーの小休止にちょうどいい明るさで、フラ・アウアナの可憐な振り付けにもぴったり。軽やかな聴感ながら、ピッキングは精緻でリズムは深い──そんなケオラの語り口が生きています。

「彼らは豆を一つずつ hemo(ヘモ)=外す/もぎ取る んだ…。」— ライナーノーツ

アーティストについて

Keola Beamer
ケオラ・ビーマー

ケオラのインストゥルメンタルは、音色・間・物語性のコントロールが鍵です。派手さよりも明瞭さを重んじ、ハーモニクスや開放弦の共鳴で情景を語ります。師への敬意と体系化の姿勢で、後進への橋渡しにも尽力。ピアノや歌、ギタリストとの共演でも kī hō‘alu の声は揺るぎません。

歌詞(日本語訳/原詞は英語)

朝になったら目を覚まし
太陽が大きく明るく照るころ
小道をたどって畑へ向かう
赤い豆が光を受けてきらめくところへ

「ヘモ、ヘモ──ヘモ・ダ・コペ・ビーン」と歌いながら(※hemo=外す、kope=コーヒー/ピジン)
ヘモ、ヘモ──ヘモ・ダ・コペ・ビーン
ナナナ──ヘモ・ダ・コペ・ビーン(くり返し)

丘を吹きおろす風が来れば
木々の間をささやいて通りぬける
一筋の陽の光が差せば
人は少し幸福に生きられる

「ヘモ、ヘモ──ヘモ・ダ・コペ・ビーン」と歌い
ヘモ、ヘモ──ヘモ・ダ・コペ・ビーン
裸足で土埃の大地を踏み、葉に手を伸ばす
日が傾くころ、コーヒーの木の下で歌う
ヘモ、ヘモ──ヘモ・ダ・コペ・ビーン(くり返し)

トラック5:「Endlessly」 — ソニー・チリングワース

背景

1959年のポップ・バラードが、ソニーの手でハワイのラブソングへ。kī hō‘alu の響きがドゥー・ワップの輪郭をやわらげ、ゆったりと揺れる伴奏はスロウ・フラやウェディングの一曲にも似合います。英語詞をスラック・キーの織地に置くことで、外のレパートリーが“島の歌”として馴染んでいく過程がよく見えます。声はあくまで親密──リビングの向こうから届くような距離感。時を超える献身というメッセージは、本作の“愛と土地”の主題にも響き合います。

「ソニーはスラック・キーで初めてクラーベのベース・パターンを使った。『Endlessly』でも用いている。」— ライナーノーツ

アーティストについて

Sonny Chillingworth
ソニー・チリングワース

ソニー・チリングワース(1932–1994)。20世紀スラック・キーを代表する名手の一人。古典メレからアメリカン・フォークやカントリーまで幅広い曲をナヘナヘに染め、次の世代に扉を開きました。音色への眼差しと、分け隔てない人柄は多くの弟子の記憶に残ります。

歌詞(日本語訳/原詞は英語)

いちばん高い山よりも高く
いちばん深い海よりもさらに深く
そんなふうに、あなたを愛していく
ああ、いつまでも

いちばん柔らかな風よりもやさしく
力強い樫の木よりもたしかに
そうやって、あなたを抱きしめる
ああ、いとしい人よ

トラック6:「Ke Kali Nei Au(The Hawaiian Wedding Song)」 — レイ・カーネ

背景

1926年、チャールズ・E・キング作。ハワイ語で歌うことで、「待ち続ける」「生涯の愛を誓う」という意味合いが一層はっきりと立ちます。フレーズはレイを交わす所作のように慎ましく進み、コーラスの「甘いアロハの時」は無理のないダイナミクスで気持ちを運びます。レイ・カーネの解釈は詩を最優先に、ギターは空間を支える役回り。親密さこそが恋歌を長く残すのだと教えてくれます。

「スラック・キーを分かち合わなければ、やがて失われてしまう。」— レイ・カーネ

アーティストについて

Ray Kāne
レイ・カーネ(写真:Tom Pich/NEA、Public Domain/Wikimedia Commons)

レイ・カーネ(1925–2008)は、kī hō‘alu の“純度の高いナヘナヘ”を体現した奏者。温かいサステインと、言葉と言葉の間に息を置くタッチが持ち味。インストゥルメンタルで知られますが、時に歌う声もまた年長者のやさしさに満ちています。

歌詞

原詞(ハワイ語)

Eia au ke kali nei
Aia lā i hea kuʻu aloha
Eia au ke huli nei
A loaʻa ʻoe e ka ipo

Maha ka ʻiʻini a ka puʻuwai
Ua sila paʻa ʻia me ʻoe
Ko aloha makamae e ipo
Kaʻu ia e lei aʻe nei lā

Nou nō ka ʻiʻini(nou ka ʻiʻini)
A nou wale nō(wale nō)
A ʻo ko aloha kaʻu e hiʻipoi mau
Naʻu ʻoe(naʻu ʻoe)
E lei(e lei)
Naʻu ʻoe e lei

A he haliʻa kai hiki mai
No kuʻu lei onaona
Pūlupe i ka ua

ʻAuhea ʻoe ka ʻiʻini a loko
Na loko aʻe ka manaʻo
Huʻe lani ana i kuʻu kino

Kuʻu pua kuʻu lei onaona
Aʻu i kui a lawa iā nei
Me ke ala pua pikake

A ʻo ʻoe kuʻu pua(ʻO ʻoe kuʻu pua)
Kuʻu pua lei lehua(lehua)

Aʻu e liʻa mau nei hoʻopaʻa
Ia iho ke aloha

He lei(he lei)
ʻOe naʻu(ʻoe naʻu)
He lei ʻoe naʻu

トラック7:「Waikīkī Hula」 — シリル・パヒヌイ

背景

1920年代末の陽気なストーリー・ソング。ホノルルのあちこちを駆け回り、カメハメハ・スクールの時計台の下で恋人と再会するまでの道のりをユーモラスに綴ります。ワイキキは寒い、ケワロは暖かい……対比の妙と、地名が散りばめられた詞が魅力。テンポは軽快、フラでは身ぶりや“時計を見る”仕草が映えます。

「ぼくがいちばんしたことは“聴くこと”だった。」— シリル・パヒヌイ

アーティストについて

Cyril Pahinui
シリル・パヒヌイ(写真:Greg Concilla May、CC BY 2.0/Wikimedia Commons)

シリルの快活な読みは物語を主役に置き、12弦のきらめきで街のざわめきを感じさせます。カニカピラの親密さをそのまま舞台に持ち込むような、肩の力の抜けた包容力が持ち味。発音が明瞭で、ハワイ語に不慣れな聴き手にも物語が届きます。

歌詞

原詞(ハワイ語)

I Waikīkī anuanu au
Hoʻi au i Kewalo pumehana au

Aia i Kalihi kaʻu aloha
O ka hale kula nui ʻo Kamehameha

Mea ʻole ia loa i kahi manaʻo
Ma hope hoʻi au me kuʻu aloha

He loa ka ʻimina a ka huapala
ʻAlo aʻe i ke kula o Kaiwiʻula

ʻŌlelo kauoha na kuʻu aloha
I ka hola ʻeiwa hiki aku wau

Kakali au a hala ka manawa
Pau ka manaʻolana o ka hiki mai

Ke hulu hoʻi nei ʻo Lelesia
Keiki o ka pua laʻi

Haʻina ʻia mai ana ka puana
Hoʻi au i Kewalo pumehana au

トラック8:「ʻIke Ia Lādana(Queen’s Jubilee)」 — デニス・カマカヒ(ボーカル)

背景

のちの女王リリウオカラニが、ビクトリア女王のゴールデン・ジュビリー(Iubilī)参列のためロンドン滞在中に記したハワイ語の讃歌。各節で女王の名声と、世界から集う君主たちを称えます。ハワイ語で聴くことで、英訳でそぎ落とされがちな宮廷的な語り口やイメージが立ち戻ります。デニスは声とギターの均衡を保ち、雅やかな言葉を主役に据えました。小さな歴史レッスンとしても味わえる一曲です。

「詩や音楽は、親しい者同士が競い合うように歌い継いでくれる。」— リリウオカラニ女王

アーティストについて

Dennis Kamakahi
デニス・カマカヒ(Wikimedia Commons より)

デニスは、王族の作品をはじめ“あまり歌われなくなったメレ”を舞台に戻すのを好みました。明晰なバリトンと安定したギターで、学ぶ人にも式典にもふさわしい品位を保ちます。作曲者への敬意と背景の説明を惜しまない教育者の心が、ここにも宿ります。

歌詞

原詞(ハワイ語)

Mahalo piha, Mōʻī ʻo ʻEnelani
Kuʻi kou kaulana nā ʻāina pau
Na kai ākau nā one hema
ʻIkea kou ʻihi mana nui
Eia mākou i kou kapa kai
I kou lā nui Iubilī
I hiʻi mai i kou mākou aloha
Maluna ou ka malu o ka Lani
 
Hauʻoliʻoli ʻEmepela o ʻInia
I kēia makahiki Iubilī
ʻĀkoakoa nā aliʻi ʻaimoku
A puni ke ao holoʻokoʻa
E hiʻilani e mililani
Ua hui pū ʻia me Hawaiʻi
E uhi mai ka lani i kona nani
E ola ka Mōʻī ke Akua

トラック9:「Hawaiʻi Aloha」 — レイ・カーネ

背景

牧師ロレンゾ・ライオンズ(Makua Laiana/マクア・ライアナ)の讃美歌。手を取り合って歌われることの多い、ハワイの“もう一つの国歌”です。ハワイ語の歌詞は、生まれた砂、天からの恵みをたたえます。多くの人が心で覚えている曲だけに、伴奏は簡素であるほど良い──レイはその“みんなの歌”という本質を尊重します。コミュニティでは1番+コーラスが一般的ですが、後半の節まで歌うと祈りはさらに深まります。作品の配置もまた、アロハ・アイナ(aloha ʻāina/郷土への愛)と“声を合わせる”という本作のテーマを象徴します。

「この歌は、イベントの締めくくりに手をつないで歌われ、皆を一つにしてくれる。」— 伝承ノート

アーティストについて

Ray Kāne
レイ・カーネ(写真:Tom Pich/NEA、Public Domain/Wikimedia Commons)

レイの静かな説得力は、この“皆で歌うメレ”にふさわしい。開放弦の和音と素朴なアルペジオで旋律を支え、技巧を前に出しません。教会や裏庭、教室で息づく伝統の姿が、その演奏から立ちのぼります。

歌詞

原詞(ハワイ語)

E Hawaiʻi e kuʻu one hānau e
Kuʻu home kulaīwi nei
ʻOli nō au i nā pono lani ou
E Hawaiʻi, aloha ē

Hui(サビ):
ʻOli ē! ʻOli ē!
Mai nā aheahe makani e pā mai nei
Mau ke aloha, no Hawaiʻi

E haʻi mai kou mau kini lani e
Kou mau kupa aloha, e Hawaiʻi
Nā mea ʻōlino kamahaʻo no luna mai
E Hawaiʻi aloha ē

Nā ke Akua e mālama mai iā ʻoe
Kou mau kualono aloha nei
Kou mau kahawai ʻōlinolino mau
Kou mau māla pua nani ē

トラック10:「E Hihiwai」 — デニス・カマカヒ

背景

モロカイのワイラウ渓谷を呼びかけるプレイス・メレ(地名を詠む歌)。山の流れに棲む淡水貝Hihiwai(ヒヒワイ)になぞらえ、断崖、風、滝の情景が描かれます。サビの呼び声は土地そのものの声のように、帰郷を促す響き。旋律は覚えやすく、学び始めの人にもやさしい一方、故郷を持つ人々には胸に迫る歌です。フラでは谷の風と水の手つきを通じて、自然と文化の意味が重なります。

「hihiwai は、河口の汽水域にも棲む可食の淡水貝。」— 楽曲ノート

アーティストについて

Dennis Kamakahi
デニス・カマカヒ(Wikimedia Commons より)

デニスは、環境への眼差しと家族の記憶を結ぶメレを多く書きました。C系の調弦で作る転がるような伴奏は、渓流や貿易風の流れを映します。演奏前に物語を添える姿勢は、歌を“文脈ごと”手渡すもの。息子デイヴィッドとの共演は、音楽が ʻohana を通って受け継がれることを示しました。

歌詞

原詞(ハワイ語)

Aia i ka nani o Molokaʻi lā
I nā pali weliweli o ke koʻolau
Hea mai ka leo hone
I ke ahiahi lā
I ka makani ʻekepue o ke awāwa

Hui(サビ):
E hīhīwai lā lae lae
E hoʻi mai kāua lā
I ka ʻāina uluwehi o Wailau
Hanohano wale nō
Ka wailele Kahiwa lā
A me ke kuahiwi ʻo Olokuʻi

Mele kākou nei a pau
I ka mele ʻāina lā
ʻO ka nani mae ʻole o ke ola mau
ʻO ka makani kuʻu leo
ʻO ke kai kuʻu puʻuwai
ʻO ka ʻāina uluwehi kuʻu nui kino

トラック11:「Ka Makani Kaʻili Aloha」 — ケオラ・ビーマー(feat. ジョージ・ウィンストン)

背景

作はマシュー・H・ケイン、出版はチャールズ・E・キング(1916/1943)。キーパフルの名高い風を称え、「kuʻu pua, kuʻu lei, kuʻu milimili(わが花/レイ/いとしいもの)」と恋人に呼びかけるメレです。ハワイの歌でおなじみの「詩+Hui(コーラス)」構造で、1928年のレナ・マシャードの録音から、1972年ガビー・パヒヌイ以降の諸録音まで歌い継がれてきました。ケオラ・ビーマーは1999年、ピアノのジョージ・ウィンストンとデュオで録音(『Kolonahe: From the Gentle Wind』収録)。声とギター、ピアノが呼吸を合わせるボーカル・パフォーマンスです。

「スラック・キーは、ぼくが世界を見るレンズなんだ。」— ジョージ・ウィンストン

アーティストについて

ケオラ・ビーマー

Keola Beamer
ケオラ・ビーマー

ジャンルの境をまたぎながらも、kī hō‘alu の声を保ち続けてきた人。澄明なタッチ、共鳴、ゆとりある脈動が旋律に呼吸を与えます。共演では相手に空間を手渡しつつ、スラック・キーのアイデンティティを曖昧にしません。

ジョージ・ウィンストン

George Winston
ジョージ・ウィンストン

叙情的なソロ・ピアノで知られつつ、プロデューサー/共演者としてスラック・キーを支えました。持続音とダイナミクスの勘所が、オープン・チューニングのギターに自然に寄り添います。

歌詞

原詞(ハワイ語)

E aloha ae ana nō au
I ka makani kaulana o ka ʻāina
Aʻu e hoʻoheno nei
Ka makani kāʻili aloha

Hui(サビ):
Kuʻu pua, kuʻu lei, kuʻu milimili ē
Kuʻu lei kau i ka wēkiu
A he milimili ʻoe a he hiwahiwa naʻu
A he lei mau no kuʻu kino

I aloha ʻia nō ia home
Ia home luakaha a ka malihini
Aʻu i noho ai a kupa
Ka makani kāʻili aloha

トラック12:「ʻUlili Ē(The Wandering Tattler)」 — デニス&デイヴィッド・カマカヒ

背景

浜辺のキアシシギ(sandpiper/シギの一種)を歌う民謡調のメレ。擬音と掛け合いが楽しく、ときに渡り鳥のチドリとおしゃべりする節も。一定のテンポと明瞭なサビで、ケイキ(子ども)クラスや合唱にもぴったり。父子の掛け合いが ʻohana(家族)の温度を広げ、季節の巡りや自然観察もそっと教えてくれます。

「テーブルを叩いて“ハナ・ホウ!”の大合唱──そんな熱気を切り取った録音。」— 上演の回想

アーティストについて

デニス・カマカヒ

Dennis Kamakahi
デニス・カマカヒ(Wikimedia Commons より)

落ち着いたバリトンと、歌を前に出すギターで、掛け合いの楽しさを支えます。年齢を問わずメロディが届く明快さと、詩のチャーミングさを両立させる歌いぶり。

デイヴィッド・カマカヒ

Photo placeholder for David Kamakahi
デイヴィッド・カマカヒ

高音ハーモニーと ʻukulele のきらめきで、父の包容力に若々しい明るさを添えます。親子の共演は、歌が ʻohana を通って受け継がれることの証。

歌詞

原詞(ハワイ語)

ʻUlili ē (ahahana ʻulili ehehene ʻulili ahahana)
ʻUlili hoʻi (ehehene ʻulili ahahana ʻulili ehehene)
ʻUlili holoholo kahakai ē
ʻO ia kai ua lana mālie

Hone ana ko leo e ʻulili ē
ʻO kahi manu noho ʻae kai
Kiaʻi ma ka lae aʻo Kekaha
ʻO ia kai ua lana mālie

Hone ana ko leo ko lea ē
Pehea ʻo Kahiki? Maikaʻi nō
ʻO ia ʻāina uluwehiwehi
I hui pū ʻia me ke onaona

トラック13:「Wahine ʻIlikea」 — デニス・カマカヒ

背景

恋歌として知られますが、実はモロカイのプレイス・メレ。「白い肌の女性」は、カマコウ山の白い霧の喩え。高地の滝、ハーラワの夕靄など、固有の地名とともに景が讃えられます。サビの「nō ka heke(まさに誇り/最高)」は、フラでも印象的な決め台詞。旋律はたおやかで、やさしさと凛々しさの均衡が魅力です。

「女の人の美しさみたいに、霧は現れては隠れる。」— デニス・カマカヒ

アーティストについて

Dennis Kamakahi
デニス・カマカヒ(Wikimedia Commons より)

1970年代の作品で、フラとスラック・キーの中核レパートリーに素早く定着。声の音域もギターのアルペジオも無理がなく、初学者にも開かれつつ、詩の奥行きは尽きません。地名の意味やカオナを丁寧に伝える語り口も、デニスならでは。

歌詞

原詞(ハワイ語)

Hui(サビ):
Pua kalaunu ma ke kai
ʻO Hōnouliwai
Wahine ʻilikea i ka poli ʻo Molokaʻi
Nō ka heke

Nani wale nō nā wailele ʻuka
O Hina, ʻo Hāhā, ʻo Moʻoloa
Nā wai ʻekolu i ka uluwehiwehi
ʻO Kamalō i ka mālie

Nani wale nō ka ʻāina Hālawa
Home hoʻokipa a ka malihini
ʻĀina uluwehi i ka noe ahiahi
Ua lawe mai ka makani Hoʻolua

トラック14:「Hanohano Hawaiʻi」 — マーティン・パヒヌイ(feat. ジョージ・クオ & アーロン・マヒ)

背景

ハワイ諸島を、島名と“島の花”で順に称える短いメレ。ハワイ(レフア)、マウイ(ロケラニ)、オアフ(イリマ)、カウアイ(モキハナ)──ロールコールの形式は、オープニングやクロージングに最適です。旋律は参加しやすく、簡素で品の良いフラにもよく合います。ここでは“裏庭の温かさ”を、達者なアンサンブルでそっと持ち上げた趣きに。

「父はいつも“歌と作り手への敬意”を忘れるなと言っていた。」— マーティン・パヒヌイ

アーティストについて

マーティン・パヒヌイ

Martin Pahinui
マーティン・パヒヌイ(写真準備中)

力まずとも情感の伝わる声で、伝統曲の芯をまっすぐに届けます。家族のカニカピラ文化を映す歌いぶりが魅力。

ジョージ・クオ

George Kuo
ジョージ・クオ

古風な感触の kī hō‘alu で和声を支える人。明瞭なフレージングとやわらかなスウィングで、歌い手にも踊り手にも寄り添います。

アーロン・マヒ

Aaron Mahi
アーロン・マヒ(写真:Daniel Ramirez、CC BY 2.0/Wikimedia Commons)

ロイヤル・ハワイアン・バンドでの長年の音楽監督として知られ、堅実で心地よいグルーヴを供給。アンサンブルに呼吸を与えます。

歌詞

原詞(ハワイ語)

Hanohano Hawaiʻi
Sweet lei ka lehua

Kilakila o Maui
Sweet lei lokelani

Ohuohu Oʻahu
Sweet lei ka ʻilima

Kaulana Kauaʻi
Sweet lei mokihana

Haʻina mai ka puana
Sweet lei lei aloha

トラック15:「Kokeʻe」 — デニス・カマカヒ

背景

「ʻUpu aʻe he manaʻo…(思いが胸に立ちのぼる)」で始まる、カウアイの愛唱歌。霧に包まれたコケエの稜線、神聖なカララウ、いとしいワイメア──眺望と誓いが交差し、旋律の昇降が雲の出入りを写します。地元の人にとって“我が家”の音に聴こえる所以です。新作でも土地に根ざせば、たちまち古典の趣きを帯びる──そのお手本のような一曲。

「どの島にも、心が書きたくなる“場所”がある。コケエは、魂が昔からそこに在るように感じさせてくれる。」— デニス・カマカヒ

アーティストについて

Dennis Kamakahi
デニス・カマカヒ(Wikimedia Commons より)

デニスにとっての精神的な避難所コケエ。その感覚を分かち合うために書かれた歌です。ゆったりとしたテンポとフレーズが風景を見せ、やがて島のイベントで皆が歌う定番に。歌いやすさと情景性の両立が、デニスの真骨頂です。

歌詞

原詞(ハワイ語)

ʻUpu aʻe he manaʻo
I ka wēkiu o Kōkeʻe
I ka nani, o ka ʻāina
O ka noe poʻaiʻai

Hui(サビ):
ʻO Kalalau, he ʻāina laʻa
I ka ua liʻi liʻi
ʻO Waimea kuʻu lei aloha

Never more to say goodbye



Hoʻi mai ana i kahikina
I ka lā welawela
I ke kai hāwanawana
I Poʻipū ma Kōloa

Mele au no ka beauty
I ka uka ʻiuʻiu
I Kōkeʻe ua ʻike au
I ka noe poʻaiʻai

※英語フレーズの意味:「Never more to say goodbye」=「もう二度と、さよならは言わない」

トラック16:「Hanohano Hawaiʻi」 — ジョージ・カフモク・ジュニア(feat. ボブ・ブロズマン)

背景

別名「Sweet Lei Lehua」。ハワイ(レフア)、マウイ(ロケラニ)、オアフ(イリマ)、カウアイ(モキハナ)──島と花のロールコールで進む伝統曲。1997年『Drenched by Music』の録音は、カフモクの歌とスラック・キーに、ブロズマンのスティール・ギターが寄り添うデュオ。シンプルな言葉と、島それぞれの色合いが滲むアレンジです。

Hanohano Hawaiʻi──言葉は簡素だが、島ごとの色が暗示される。」— ライナーノーツ

アーティストについて

ジョージ・カフモク・ジュニア

George Kahumoku Jr.
ジョージ・カフモク・ジュニア(写真:Nancy Kahumoku/Wikimedia Commons)

物語性とアロハ・アイナに根ざした kī hō‘alu。技巧より歌心を重視し、コンサートも“友の集い”のように温かい。マウイのスラック・キー・シリーズで後進を育ててもきました。

ボブ・ブロズマン

Bob Brozman
ボブ・ブロズマン(写真:FranzPisa、CC BY-SA 2.0/Wikimedia Commons)

スライド/レゾネーターの名手にして越境的コラボレーター。節度ある配置でメロディとカウンターメロディを紡ぎ、kī hō‘alu と美しい会話を交わします。

歌詞

原詞(ハワイ語)

Hanohano Hawaiʻi
Sweet lei ka lehua

Kilakila o Maui
Sweet lei lokelani

Ohuohu Oʻahu
Sweet lei ka ʻilima

Kaulana Kauaʻi
Sweet lei mokihana

Haʻina mai ka puana
Sweet lei lei aloha

トラック17:「Pua Līlīlehua」 — ソニー・チリングワース

背景

メリー・カヴェナ・プクイ(詞)とカハウアヌ・レイク(曲)による近代の恋歌。パロロ渓谷の風と雨「リリレフア(Līlīlehua)」の名を帯び、愛をpāwalu(八撚り)の縄で結ぶという諺「hilo paʻa i ka lino hilo pāwalu」を引きます。上品で親密なイメージゆえ、ハーラウの愛唱曲。レイクが妻でありクム・フラのマイキ・アイウ・レイクに捧げた逸話も、この歌の寿命を長くしました。

「作曲はカハウアヌ・レイク。妻マイキに捧げられた歌。リリレフアはパロロの風と雨の名でもある。」— 楽曲ノート

アーティストについて

Sonny Chillingworth
ソニー・チリングワース

ナヘナヘな声と kī hō‘alu が詩の呼吸に寄り添います。カオナを“聴かせる”ための余白の取り方が見事。伝統と実験のあわいを、揺るぎないフィールで往還した人です。

歌詞

原詞(ハワイ語)

ʻAuhea wale ana ʻoe
E ka pua līlīlehua
A he ipo ho‘ohenoheno
E hoʻohihi ai no ka manaʻo
 
Iā ʻoe e ʻimi ana
I nā nani o ka ʻāina
Eia nō lāʻau maʻanei
E kali ana i kou hoʻi mai
 
E ʻalawa mai hoʻi ʻoe
I nei mau maka onaona
He mau maka poʻina ʻole
E kapalili ai ko puʻuwai
 
Hilo paʻa ia ke aloha
I ka lino hilo pāwalu
ʻAʻohe mea e hemo ai
Me au ʻoe a mau loa
 
Haʻina mai ka puana
E ka pua līlīlehua
A he ipo ho‘ohenoheno
E hoʻohihi ai no ka manaʻo

 

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